新車の開発段階から技術を提供
ボッシュは、自動車およびエンジンメーカー向け開発サービスを専門とする子会社、ボッシュエンジニアリングが、ドイツのアプシュタットに新しい音響テストセンターを稼働させたことを発表した。
自動車工学にとって、騒音・振動・ハーシュネス(NVH)を最小限に抑えることは大きな課題である。なぜなら、自動車登録に関する政府の規制で、外部騒音レベルに対する制限が定められており、また、自動車の購入者や所有者は、振動や騒音が少なく、滑らかで静かな乗り心地を求めているからである。
ボッシュエンジニアリングは、新車の製品開発チェーン全体にわたる包括的なサービスパッケージを顧客に提供している。設計段階でアドバイスを提供し、開発段階でサポートを提供することで、自動車メーカーは自社の車のNVHについて継続的に改善することが可能となる。
ボッシュエンジニアリングのNew Calibration Services&Products担当シニアマネージャーであるJörg Vetter氏は、次のように述べた。
「開発期間を短縮するには、音響の最適化を既存の開発プロセスに理想的に統合させることが必要である。」(プレスリリースより引用)
この新しい音響テストセンターで、ボッシュはNVHを改善するための効率的な開発プロセスの段階を設定している。これにより、開発期間をさらに短縮しながら、車両の音響効果を高めることができる。
効果的なテストでコストと時間を削減
アプシュタットの最先端音響テストセンターでは、外界から隔離された防音性の半無響室で、車両全体に与える影響を考慮しながら、新しい、または改善された部品とキャリブレーションを、統一の条件下でテストして比較するための非常に効果的な手段を提供する。
これまでに行われてきた公共道路や私的なテストコースでの音響テストでは、外的要因が測定結果を歪める可能性があり、テスト期間が長く効果的に結果を得ることができなかったが、この新しい音響テストセンターによって、新車の音響特性設計や従来の自動車の音響特性最適化にかかるコストと時間を削減できる。
オーダーメイドで再現性のある開発センターにおける測定や分析、評価の手順は、音響現象を迅速に評価し最適化するのに役立つ。
すべての車両に適応する最先端のNVHラボ技術
新しい音響テストセンターの中心となるのは、特別装備のシャシーダイナモメーターで、これは、燃焼エンジン、ハイブリッド、電気駆動の車両、また、全輪駆動、前輪駆動、後輪駆動のドライブトレインすべてに適合する。
独立して制御できる4つのローラーは、それぞれが150キロワットを供給し、最高で時速250キロを出すことができる。これにより、コーナリング時などの様々な車輪トルクや車輪荷重をシミュレートできる。
そして、十分に断熱されたテストキャビンと静音ローラーにより、背景雑音が最小限に抑えられるため、エンジニアは非常に低い音圧レベルでも測定でき、これは、特に電気自動車をテストするために大きな利点となる。さらに、テストベンチ設計には、将来の水素自動車用の監視機能も含まれている。
ラボ、サウンドスタジオ、シャシーダイナモメーターは、それぞれ独立している。
ラボには、動的NVH動作を分析するための、振動と音圧レベルを測定しモード解析を行う精密機器が装備されており、サウンドスタジオには、バイノーラル再生用のヘッドフォンや高次アンビソニック再生用の13スピーカーアレイなどのハイテク機器が備わっている。
この設定により、エンジニアは実際の車両に取り付けることなく、仮想領域内の様々なコンポーネントの音響特性を比較することが可能となっている。
(画像はプレスリリースより)
Bosch Press Releases
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