次世代パワー半導体とされるSiCを採用
住友電気工業は4日、新規構造による高効率SiCパワートランジスタの開発に成功したと発表した。
同社が開発したのは、電子の流れをオンオフするチャネル部分に特殊な面方位(0-33-8)を採用した「V溝型金属-酸化膜-半導体構造トランジスタ(VMOSFET)」。現在広く用いられている珪素(Si)に代わり、次世代パワー半導体として注目を集めている炭化珪素(SiC)を材料としたものだ。
SiCの欠点を克服、低オン抵抗、高安定性を実現
SiCは化合物半導体であるがゆえの結晶欠陥などに関し、信頼性の面で問題があるとされてきた。今回同社はこのVMOSFETにおいて、欠陥の少ない酸化膜界面を形成することに成功。オン時の十分な低抵抗を確保しつつ、耐圧1,200Vを達成した。
またこの低欠陥特性により、SiCトランジスタで実用上での課題とされる閾値電圧変動についても、セ氏175度、1,000時間の条件下で0.12V以下という高い安定性を実現している。
電気自動車などでの応用に期待、実用化へ向け展開進める
住友電気工業ではこうした特長について、車両駆動システムの電子化に伴い需要の拡大が見込まれる、電気自動車およびハイブリッド車などでの車載用途に適したものであると説明。
また同社による開発中のパワーコンディショナを用いた実証試験では業界最高水準となる効率97.6%を達成しており、太陽光など再生可能エネルギー関連機器においても利用が期待できるという。
同社では今後VMOSFETの実用化へ向け、国立研究開発法人産業技術総合研究所が運営する民活型共同研究体「つくばパワーエレクトロニクスコンステレーション(TPEC)」の量産試作ラインなどを活用。量産製造技術を確立し、関連する事業の立ち上げにつなげていく考えだ。
(画像はプレスリリースより)

住友電気工業 プレスリリース
http://www.sei.co.jp/company/press/2015/06/prs043.html