インテリジェントな調光が可能
HELLAは6月27日、ドイツ連邦教育科学研究技術省(BMBF)が出資した、効率的で安全なインテリジェント車両照明の完全適応型配光に関する研究プロジェクト「VoLiFa2020」において、液晶ディスプレイ(LCD)をベースにしたヘッドランプを開発したことを発表した。
このプロジェクトは、メルク社、シュトゥットガルト大学のIGM、ポルシェ、Elmos Semiconductor社、Schweizer Electronic社、パーダーボルン大学と協力して実施しているもの。
HELLA、ライティング&イノベーション担当副社長であるMichael Kleinkes氏は、次のように述べた。
「我々は、初めて液晶HDテクノロジーを車両に統合しました。その卓越した解像度と詳細な鮮明さのおかげで、自動車照明技術における非常に新しい道を切り開けました。」(プレスリリースより引用)
道路に3万画素の画像を投影
新しいLCDヘッドランプは、様々な運転状況に対して、光パターンをインテリジェントかつ連続的にリアルタイムで調整することが可能となり、光パターンの適応は、ますますソフトウェアによって決定されることとなる。
液晶ディスプレイは、LED光源と投影レンズとの間に位置して100×300ピクセルのマトリクスを生成し、個々に制御および調光することができるため、3万画素の画像を道路に投影することができる。
例えば、道路使用者または強く反射する街路標識などの個別の事象は、意図する通りに省略または淡色表示することができるため、ドライバーは道路の最良の見通しを得ることができ、さらに、ナビゲーションの矢印や理想的なレーンを示す線を道路に投影することも可能だ。
また、車両に設置されたカメラと、距離と速度を光学的に読み取るセンサ(光検出および測距センサLiDAR)は、プロセッサを介して周囲の情報をヘッドランプ制御ユニットに転送する。また、3列に配置された25の高出力LEDが光源として機能し、各LEDの光度は、それぞれの照明状況に合わせて調節される。
HELLA、照明技術開発部門責任者であるChristian Schmidt氏は、次のように説明した。
「LCD技術は自律的な運転にも関係する機能も可能にすることから、我々はこの技術を量産に適合させたいと考えています。」(プレスリリースより引用)
それぞれの専門的技術で協力
研究プロジェクトでは、自動車メーカーのポルシェとパーダーボルン大学の照明技術メカトロニクス研究所(L-LAB)のシステム要件を基礎として、HELLAの技術の中から、高いシステム効率とモジュールの自動車適合性を保証する熱コンセプトを保証することが利用された。
また、メルク社は、この目的のために特別な液晶を提供し、この化学成分を使用して、シュトゥットガルト大学のIGMはプロトタイプのディスプレイを開発した。一方、Elmos Semiconductor社は、革新的な電子半導体部品を設計、製造しており、Schweizer Electronic社は、革新的な方法「埋め込み」技術により、LED照明ユニットの信頼性、効率性、空間効率の良い制御を実現した。
そして、HELLAは、様々なコンポーネントをシステム全体に統合し、照明制御とヘッドランプの間のインタフェースを開発した。
ポルシェパナメーラに採用されたプロトタイプは現在、パーダーボルン大学のテストドライバーによって現実的な運転条件でテストされている。
(画像はプレスリリースより)

HELLA Press releases
http://www.hella.com/