ザールラント大学と共同研究
ZF Friedrichshafen(以下、ZF)は、ドイツのザールラント地方の神経科医とともに、乗り物酔いを早期に発見する方法を調査し、症状を早期に検出するためのスマートドライビング機能を開発している。
これにより、ZFは、次世代モビリティの決め手となる、乗員の快適性に焦点を当てている。
ZFの先端技術開発、人間中心車両における動作制御分野担当の責任者であるFlorian Dauth氏は、次のように述べた。
「我々は、乗員と、そのドライビング経験に焦点を当てた最初の企業の1つである。我々の目標は、乗り物酔いの個々の事例を特定し、乗客の一般的な状態に関連する対策を考案することである。」(プレスリリースより引用)
このコンセプトの科学的根拠は、ザールラント大学のSystems Neuroscience&Neurotechnology Unit(SNNU)とhtw saarによって共同で行われたテスト候補研究に由来している。これらの研究では、テスト候補者の生理的反応が様々な運転状況で調査された。
SNNUの所長であるDaniel J. Strauss教授は、次のように述べた。
「我々の先駆的な研究は、神経技術、心理生理学、人工知能、そしてドライビングダイナミクスの分野を取り入れたもので、各パートナーが持つ一連のスキルは、この共同プロジェクトの枠内で互いに完全に補完されている。今日までに得られた科学的結果は、国際的な専門家コミュニティによって十分に受け入れられている。」(プレスリリースより引用)
生理学的・画像・走行など多数のデータを分析
ZFとSNNUの研究者は、個人による乗り物酔いの主観的知覚と最も高い相関を示す生理学的マーカーを分析、また、これがどのように自動車のドライビングダイナミクスと相関するかについても調査した。生理学的指標は、体温の変化や皮膚電気反射など、体の様々な変化の中に示されている。
ZFのFlorian Dauth氏は、次のように説明する。
「我が社の乗り物酔い研究用車両により、高性能コンピューティングプラットフォームの助けを借りて、多数の生理学的データとカメラデータ、ドライビングダイナミクスに関する測定値を記録することができる。同時に、この車両はアルゴリズムの開発と検証のためのプラットフォームとして機能する。」(プレスリリースより引用)
1万キロメートル以上にわたる研究を行ったチームは、サーモグラフィと画像、ドライビングダイナミクスのデータの形で、中枢神経系および自律神経系における5万ギガバイト以上の生理的マーカーを集めた。
これは、乗り物酔いの現象を理解するという課題に科学的な手順を適用するのに役立ち、同時にAIベースのアルゴリズムを表現するための基礎にもなる。
自動化車両でも乗員の状況に対応可能に
現在この研究では、非侵襲的測定のためにウェアラブルとともに車内のセンサーセットを採用している。そして、課題は、多くの進化的なステップを経て、乗り物酔いを物理的な接触なしに検出することを可能にする自動車互換システムを開発することである。
これにより、運転者、または将来的には自動化された車両を動かす制御システムは、例えば後部座席の子どもの気分が悪くなり始め、それに応じてドライビング特性を適応させることができるかどうかを早い段階で識別できることとなる。
ZFでは、すべての人が車両の動きに異なった反応をし、乗り心地の個々の感覚を持っていることから、乗員それぞれの身体的反応の知識を取得するAIメソッドに基づくアルゴリズムによって、パーソナライズされたプロファイルを作成することを実現している。
この結果として、車両の乗員について個々のデータが得られ、自動化された車両が実際に乗客それぞれの好ましいドライビングスタイルを記憶することが可能となる。
(画像はプレスリリースより)

ZF Friedrichshafen Press Releases
https://press.zf.com/press/en/releases/release_10115.html