新しい電動自動トランスミッション技術
ZF Friedrichshafen(以下、ZF)は6月18日、新しい電動自動トランスミッション(eAMT)技術で、フロント横置きエンジン車両用の完全プラグインハイブリッドドライブを開発したことを発表した。
これは、同社の電動アクスルドライブシステム(eVD)と自動マニュアルトランスミッション(AMT)を1つのシステムに統合した革新的なコンセプトである、
前輪駆動の価格重視型小型車とコンパクト車のハイブリッド化に向けた最大の難題は、追加のコストと、限られた設置スペースのための開発であった。
ZFの電動ドライブの機能開発者であるNorman Schmidt-Winkel氏は、次のように説明した。
「フロント横置きエンジン車両用の完全プラグインハイブリッドドライブは、既存のプラットフォームを使用して、従来のドライブやプラグインハイブリッドを実装することができるので、自動車メーカーのフレキシビリティを高めることとなります。一部の車両クラスでは、自動トランスミッションは、重量、スペースまたはコストの理由から問題外でした。このシナリオでは、マニュアルトランスミッションの自動化は、クラッチを作動させギアを交換する必要がないため、ドライバーの快適性と効率を大幅に向上させる素晴らしい方法です。」(プレスリリースより引用)
牽引力中断がなく効率性と運転安全性が向上
電気駆動とインテリジェントなドライブ管理のおかげで、eAMTのシフト快適性と性能は、より高価なトルクコンバータまたはデュアルクラッチトランスミッションとほぼ同等となる。
AMTが新しいギアにシフトするために離脱するとすぐに、牽引力の中断があるが、新しいeAMTは、トラクショントルクサポート機能により、この短い中断をほぼ完全に補完するとともに、リアアクスルの電気駆動が、完全にタイミングを合わせたトルクの挿入でこの中断を正確に橋渡しする。
現在のコンパクトSUVプラットフォームに基づくZFの eAMTデモンストレーション車両は、フロントエンジン、自動トランスミッションおよびリア電気駆動間の力のバランスが、現実のアプリケーションでどの程度機能しているかを示している。
Schmidt-Winkel氏は、次のように述べた。
「ドライバーは、バックグラウンドで実行される複雑なシステムシーケンスと制御プロセスをまったく意識せず、加速時には、躍動感のある強力な加速のメリットしか感じられません。以前は、これらの利点は、より複雑なトランスミッションを備えた非常に高価なハイブリッド車でしか利用できませんでした。我々は、eAMTシステムの可能性を利用して、効率性と運転安全性を高めるその他の機能を提供しています。」(プレスリリースより引用)
プラグインハイブリッドの機能範囲を自由に選択
電動リアアクスルドライブは、ギアチェンジをサポートするだけでなく、追い越し時や滑りやすい路面で全輪駆動が必要な時など追加のスラストが必要になると、即時に自動で作動する。
さらに、ZFは、デモンストレーション車両の電気モーターを非常に強力にして、電気動力だけでSUVを作動させる、排出物ゼロの完全電気モードで走行することとした。このeAMTモードは、都市部の走行や渋滞時のクリープモード、および一般的な運転および駐車に特に適している。
また、eAMTは惰性走行を可能にし、すなわち、内燃エンジンの駆動が外されて、滑るように動いている間に、エネルギーを節約する。
この機能は、リアにある非同期機(ASM)からのメリットも持っている。永久同期機(PSM)とは異なり、ASMはハイブリッド管理が作動しない限り抵抗なく回転する。
eAMTを使用することで、自動車メーカーはプラグインハイブリッドの機能範囲を自由に選択し、電気モーターの強力の度合いを決定することができる。
(画像はプレスリリースより)

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